« ロシア製プラモ ZVEZDAのユンカースJU-52 | トップページ | 鉄道コレクション「モハ52形式電車」リニア・鉄道館展示車両 »

2011年10月 8日 (土)

リニア・鉄道館の収蔵車公開ツアー

01

10月の3連休の初日は爽やかな秋晴れで、絶好のお出かけ日和となりました。すっかり涼しくなったので、出歩いても汗ばむこともなく快適です。

名古屋市港区の金城埠頭にあるJR東海の博物館「リニア・鉄道館」にて、10月8日から10月24日まで、「リニア・鉄道館で学ぶ鉄道の日」と称して、収蔵車公開ツアーが実施されているとの情報を公式ページで知ったので、久し振りに訪れてみることにしました。

鉄道の人気の高さを象徴するように、リニア・鉄道館では夏休みくらいまで大変な混雑が続いていました。今でも休日は地方からのツアー客が来館したりしてある程度混んでいるものの、かなり落ち着いて展示車両を眺められるくらいになった様子です。3連休の初日のために、今日は10時の開館時間にはそれなりに行列が出来ていましたものの、その後はすぐに入れるようです。

02

エントランスホールから入館直後のシンボルゾーンには、鉄道のスピードアップの歴史の主役であるC62形蒸気機関車、新幹線試験車両の300X、リニアモーターカーの実験車両のMLX-01-1が展示されています。薄暗いこのゾーンには、入館した客がたくさん滞留しています。魅力的な車両が目の前にあるのでついつい長居してしまうのですが、10時の開館直後は非常に混雑するエリアです。ここは後で空いてきてから見ることにして、先に奥を見た方が合理的なのです。C62の右脇をすり抜けて、サッサと奥の展示スペースに進みます。

03

C62蒸気機関車には、鉄道の日のイベントの一環として「つばめ」号のヘッドマークが掲げられています。このC62-17号機は、東山動植物園に展示されている頃から馴染みの機関車です。屋外展示で今にも朽ち果てそうな惨めな状態でしたが、今こうやって美しく磨かれて、晴れの舞台に立っていることが嬉しくてなりません。

04

シンボルゾーンを抜けてイベント広場に出ると、人はまばらになります。朝一番のこの時間帯には、ゆったりと車両見学が出来ます。

05

展示場の右側の奥にはC57形蒸気機関車が展示されています。こちらも鉄道の日のイベントのためにお召し列車の飾り付けがなされています。実際に何度もお召し列車を牽いた、栄光のC57-139号機の勇姿を彷彿とさせます。

06

朝一番の時間には、鉄道ジオラマのゾーンも空いています。
最初の運転は10時半からですが、皆さんが入口で留まっているうちにかぶりつきの場所を確保することができます。

07

今日から始まった収蔵車公開ツアーは、展示場の右奥のスニ30形式荷物車の展示場所で受付が行われることになっています。展示場の奥には13両の車両が保存されていますが、普段見ることが出来るのは車両の全面だけです。今回はその13両の内の2両の内部も見ることが出来るのです。

08

鉄道の日のイベントとして行われている収蔵車公開ツアーは、10月8日から10月24日まで毎日開催です。11時からと14時から、毎回15名程度先着順で所要時間は約30分です。参加費は無料。午前の部は10時40分頃に受付が始まりました。

10時半頃にこの看板のスペースに行ったところ、私の前に待っている方が一人おられました。間もなく数人、私の後に並び、受付が始まると同時に定員の15人を超えて、20名程度の参加者が集まり締め切られました。

今回の収蔵車公開ツアーで見られるのは、「モハ63形式電車」、「オヤ31型建築限界測定車」の2両です。

09

これがモハ63形式電車です。戦時設計の車両で、「63系電車」として有名な車両です。

10

オヤ31型建築限界測定車です。
事業用の建築限界測定のための車両です。矢羽根を広げている様子が花魁が頭にのかんざしをたくさん挿しているように見えることから、おいらん車という愛称があります。こちらも非常に有名な車両です。

11

収蔵車公開ツアーの受付をすると、参加者であることを示す札が渡されます。見学中は、これを首から提げておくことになります。終了後に返却します。

12

11時になると、いよいよ普段入れないエリアに入れてもらえます。自由に動き回れるわけではなく、必ず学芸員の引率に従って見学を行います。狭いエリアなので、一度に15名程度が限界だと思います。

13

まず、モハ63形式電車から見学します。

14

車両の奥に設置された階段から、車内に入ります。
裸電球の照明なので、車内は暗い。木製の内装が時代を感じさせます。

15

このモハ63形式電車は、昭和26年に悲惨な車両火災事故を起こしたことで有名です。横浜市の桜木町駅で起きた、いわゆる「桜木町事故」です。死者106人、負傷者92人という大惨事でした。架線の碍子交換中に垂れ下がった架線に電車のパンタグラフが巻きついて発火し、あっという間に燃え広がった事故です。

車内には、当時の事故を報じる写真と共に、その後に国鉄で定められた安全綱領のボードが用意されていました。

16

側面の窓は3段窓です。事故当時は真ん中の窓は固定されており、下の部分の窓は29cmしか開かない状態でした。ガラス代を節約するためですが、この窓の構造によって火災時の避難が困難になってしまいました。また扉の非常コックの表示が無いので、客がドアを開けることも出来ませんでした。

17

天井は木製の素材むき出しです。絶縁が不十分でもあったので、あっという間に火が広がったとのことです。

18

運転席です。
客室部分を広く取るためか、非常にコンパクトに纏められています。
ここにも事故当時には多くの客が詰め掛けた事でしょう。

19

後部の貫通路です。
ドアが内側に開くタイプなので、避難するために客が殺到したときには開くことが出来ず、脱出が遅れた原因にもなっています。
悲惨な事故の多くの犠牲によって、今日の鉄道車両の安全設計に繋がっていることを、実感を持って認識できます。

20 

座席にはモケットが張られておらず、木のベンチのようです。今日はこの座席に座って体験することが出来ました。木のベンチに座っている感触そのままです。詰め込み式の通勤電車なので、座れただけ幸せだったのかもしれません。

21

台車の部分には窓が設けられており、旧式電車の吊り掛け式のモーターの構造を見ることが出来ます。

22

欠陥車両の代名詞のような、「63系電車」をきれいに復元して展示していることには、後世にメッセージを伝え続けていくためにも大きな意義があることと思います。

23

続いて次の車両の見学に向かいます。
その道中では、他の展示車両も間近で見ることが出来ます。これはオロネ10の車内です。A寝台車として活躍したこの車両にも、いつか車内見学が出来るようになることを願います。今は絶滅状態の寝台列車、博物館でその優雅な旅に思いを馳せたいものです。

24

キハ48000(キハ17)です。
ローカル線無煙化の立役者です。

25

今日2両目の見学車両は、このオヤ31です。
一般客が乗る機会が無い事業用車両の為に、非常に楽しみです。サイドに飛び出た多数の矢羽根が目立ちます。描かれた白線が鮮やかです。

26

この車両も、奥に設置された階段から扉を通って車内に入ります。
デッキを抜けた部分には、窓際にベンチシートが並ぶ待機エリアがあります。測定作業をしていない職員は、このスペースに乗っていたとの事です。座面にはモケットが張ってあるものの、背もたれが無くて座り心地は良くなかったことでしょう。オハ35系客車からの改造であり、当然エアコンは取り付けられていません。扇風機もありません。

27

デッキには、客車時代と同様の洗面所があります。対面には便所がありました。

28

洗面所の隣には飲料水を提供する装置がありました。冷やす装置があったのかどうかは判りません。でも、一応車内で長時間過ごせるだけの設備は最低限確保してあるようです。あちこちに灰皿が設置されており、使用された時代を反映しています。

29

待機室の壁に掲げられた備品員数表です。

30

奥のスペースは、計測室となっています。ここがオヤ31の謎の部分でした。
見学者は、皆ここに集まって熱心に眺めています。こちらのスペースには、天井に扇風機が設置されていました。手前の待機スペースと異なり、こちらは真剣に仕事を行う部屋だということが判ります。

31

車端の矢羽根の内側の部分です。
矢羽根の接触センサーが作動すると、内側の部分に連動して電気スイッチが入る仕組みとなっています。

32

手前の机にはランプが設置されています。
矢羽根のセンサーが障害物に触れて作動すると、ランプが点灯する仕組みです。矢羽根は車端と車両中央部の2箇所に設置されており、それぞれランプのパネルがあります。物理的に接触部分の矢羽根が折れることで感知するというローテクながら、確実な測定方法だったということです。

33

車内では、学芸員がプラレールを使って車両限界を判り易く説明してくれます。

34

車両中央部の矢羽根は、収納状態となっています。使用時には、これを外側に立てることになります。

35

矢羽根部分を覗き込むと、矢羽根が奥のリンクと繋がっていて電気スイッチを作動させるという仕組みがよく判ります。矢羽根は木製で、折れたら交換していたとの事です。この車両は、実際に矢羽根が動く状態で保存されています。

36

現在の建築限界測定車は、レーザー計測をしているので、こんなローテクセンサーを使用していません。しかし何とも判り易くも頼りになるおいらん車、長年鉄道の安全のために働いてきました。今後も後世に、その役割の重要性を伝えていってもらいたいものです。

収蔵車公開ツアーは、今回が始めての試みです。しかも今日が最初だったので、今後のことについてはまだ判りません。今回の公開に際し、特に内装の清掃に心を配ったそうです。何分古い車両ばかりなので、内部も錆だらけだったそうです。

リニア・鉄道館では、普段見られない貴重な車両の内部を公開して、文化を後世に伝えていこうとする意気込みが存分に感じられました。引率の学芸員の方々の真摯さに報いるためにも、見学者のマナーを守っていきたいものです。それが今後、他の車両の公開にも繋がっていくことになると思います。初日の今回は、公開を待ち望んでいた方々ばかりということもあり、皆さん行儀良く真面目に見ていました。

37

混雑が激しいときは、お弁当を食べる場所にも苦労したものですが、今日は昼時でも落ち着いていました。車内で飲食できる屋外展示の117系電車3両にも余裕があります。

38

季節限定の「秋味満載」というお弁当、1100円です。お茶と合わせて1250円。

39

見た目はきれいですが、味は普通。特段美味しい弁当ではありません。
もっと安い、リニア・鉄道館オリジナルの復刻弁当の方がずっと美味しいと思います。
リニア・鉄道館で困るのが、食べ物です。現状は駅弁を買って飲食スペースで食べるか、持込みをするしか無いのですが、やっぱり鉄道博物館のような食堂が欲しい!
但し、鉄道博物館がアミューズメント性の高いテーマパーク的存在なのに対し、このリニア・鉄道館は純粋に鉄道のスピードアップの文化を後世に継承していく博物館的正確が強いために、館内の食堂でビールが飲める鉄博と同じモノを求めるのは筋違いかもしれません。

周囲の開発が進んで、レストランなどが出来るのを待った方が早いのでしょうか。

40

117系の車窓?には、名港トリトンが見えて絶景です。
座りなれたシートで弁当を食べながら、ちっとも動き出さないことに違和感を覚えます。

開館から7ヶ月以上を経ても多くの来館客で賑わっています。今後も様々に趣向を凝らしたイベントを行って、鉄道文化の継承をしていくことでしょう。私の自宅からは1時間ほどで行けるので、もっと気軽に頻繁に訪れたいところですが、いつでも行ける、という気分の為に、つい後回しになってしまうものです。

|

« ロシア製プラモ ZVEZDAのユンカースJU-52 | トップページ | 鉄道コレクション「モハ52形式電車」リニア・鉄道館展示車両 »

旅行・地域」カテゴリの記事

鉄道」カテゴリの記事

コメント

YUJIさん こんばんは
リニヤ・鉄道館の、収蔵車公開イベントレポート有難うございます。おいらん車、現物の詳細、初めて勉強させて頂きました。
有難うございます。設計通りに建てたはずの駅舎やトンネル、最後はこうゆう車両を走らせて検査したのですね。今回は昼食もあまり苦労せず済まされた様でなによりです。
大阪からは、新幹線の往復キップの付いたツアーが色々ありますが、中々行く機会がありません。
私は、妻と恒例のクリ拾いに行きまして先ほどまで、鬼皮剥きの手伝いをしておりました。この処、肝機能の数値が上がっていましたので禁酒でしたが青空の下で飲む生ビールとバーベキュー久しぶりに堪能しました。

投稿: マーボウ | 2011年10月 9日 (日) 00時03分

 羨ましい限りです。 熊本ではA TRAINの"Aで列車で行こう”号がJR三角線に今日から登場しました。JAZZの名曲も流れるそうです。
 もっとも私はその先の天草に月1でひらめを食べにいっていますが。

投稿: honest | 2011年10月 9日 (日) 00時28分

私も建築限界測定車に反応してしまいました。
実物の写真を見るのははじめてです。
考えてみればこれが一番確実な方法ですよね。
メタボな私は体型限界測定が必要かも知れません。

> この処、肝機能の数値が上がっていましたので禁酒でしたが
マーボウさんそれはお気の毒に
私なんか30年以上限界値を越えっぱなしなので開き直っています。

> "Aで列車で行こう”号が
honestさん、私も大好きなナンバーです。
関西人のノリとしてはこっちのネーミングの方が好きです。

投稿: カズキ | 2011年10月 9日 (日) 08時57分

>マーボウさん、こんにちは。

今年も恒例のクリ拾いで秋を満喫されたようですね。青空の下で飲むビールの旨さ、思い浮かべるとたまりません。私も先日健康診断で、もうすぐ結果が出ます。きっと肝臓関連は要チェックになっている気がします・・・。

収蔵車公開は、まず皆さんの見たかったおいらん車の内部となったようです。内部は必要最小限の「仕事場」でした。丹念なチェックが、鉄道の安全に寄与していることを知りました。

リニア・鉄道館、各地からのツアー客で一杯でした。見学時間の制限があって、30分掛かる収蔵車公開ツアーに参加できなかった方もおられた様子でした。新幹線のツアーなら、時間の余裕がありそうですね。


>honestさん、こんにちは。

三角線のジャズ、聞きに行きたいものです。九州内でも三角線未乗なので、いつか乗る予定ではあります。天草のヒラメ、羨ましい限りです。こちらでは知多半島のフグがそろそろ始まるので、来週あたり賞味しようかと画策中です。


>カズキさん、こんにちは。

オヤ31は、その特異なスタイルにて興味を持っていました。内部は資料写真しか見たこと無かったので、立ち入ることが出来るのは良いチャンスだったと思います。アナログの調査方法が一番確実ですが、現在はコストと時間がかかるのでレーザー測定になってしまいましたね。

きちんと休刊日を設けて、それを守っておられるカズキさんと異なり、私は毎晩飲んでおります。もうすぐ出る今年の健診結果を見て、少しの間は自粛を考えることになるでしょうか。

投稿: YUJI | 2011年10月 9日 (日) 09時59分

どうせなら愛知万博会場までの足だった、現在現役で走っている唯一のリニアモーターカー、赤字路線のリニモでここにいけるようにして欲しいですねー。

投稿: MHR | 2011年10月 9日 (日) 10時51分

MHRさん、はじめまして。コメントありがとうございます。

世界随一の技術のマグレブ方式で超高速運行するJR東海のリニアモーターカーの展示館としては、地域コミューターのHSST方式のリニモと一緒にして欲しくない意識がしっかりとあるのですが、同じ磁気浮上列車として紹介することも今後あるかもしれませんね。

これまた大赤字線で経営再建中のあおなみ線にはJR東海も関連しているので、そちらに乗ってもらうことが重要なのでしょう。河村市長の唱えるあおなみ線へのSL運行計画も調査段階に入っているので、そちらに期待することにしましょう。

投稿: YUJI | 2011年10月 9日 (日) 20時35分

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/208541/52940197

この記事へのトラックバック一覧です: リニア・鉄道館の収蔵車公開ツアー:

« ロシア製プラモ ZVEZDAのユンカースJU-52 | トップページ | 鉄道コレクション「モハ52形式電車」リニア・鉄道館展示車両 »