« 「週刊SL鉄道模型」第34号 お待ちかねの動力ユニット! | トップページ | 「週刊トヨタ2000GT」第42号 ダブルウィッシュボーンサスペンションの動きの再現性が素晴らしい! »

2012年10月 6日 (土)

美濃太田車両区の博物館選抜漏れ車両たち

所用で岐阜県美濃加茂市に行く用事があったので、ちょっと早めに出て美濃太田車両区の保存車両を見てきました。近隣の国道41号線から車両群を見下ろすことが出来ます。

ここには国鉄時代に活躍した代表的な車両が長年保管してありました。2011年の3月にオープンしたJR東海の鉄道博物館「リニア・鉄道館」展示用に5両が選抜され、装いもきれいに修復されて現在展示車両として見る事が出来ます。その内の何両かは車内も元通りに復元されており、来館時に車内に入ることが出来ます。

2012100601

道路が線路をオーバーハングする位置から、保存車両が見えます。数年おきにここを訪れていますが、前回は2009年にて「リニア・鉄道館」の準備段階の時期だったので、まだ車両の搬出が行われていませんでした。現在残っている車両は、博物館展示の選抜から漏れた車両たちです。

果たしてどうなっているのか、ひょっとして選に漏れたメンバーは解体処分されて跡形も無いのではないか、と心配していました。しかし、何にも変わらず古びた懐かしい車両群が見えてきてホッとします。「リニア・鉄道館」準備段階では、保護のために全ての車両にシルバーのシートが被せられていましたが、それも外されています。

2012100602

一番手前にあるのは、オハフ46型客車3両です。右からオハフ46 2027、2008、2009です。
4年前からこの3両はずっとこの位置に置いてあります。この形式の車両では、もう少し内側に置いてあったオハ47 2098が選抜され、華々しくリニア・鉄道館で展示されています。

2012100603

残された3兄弟は、もしきれいに直されたらJR東海がSL列車を復活させた時に貴重な存在となるかと夢想します。でも、かなり状態は悪い様子です。

2012100604

手前のオハフ46 2027の車端のテールランプや銘板が取り外されています。保存のために外したのか、盗まれたのかは判りません。4年前にはちゃんと付いていましたし、こんなにサビサビではありませんでした。日本の気候で野晒しにすると、使用しない車両はどんどん朽ちるということが判ります。

2012100605jpg

客車の隣はキハ58 787です。キハ58系も、昔は日本中でよく見かけた車両だったのに、今では保護対象のような希少種になっています。天井の錆び具合が進行していますが、その気になれば十分修復可能な気がします。しかし美濃太田車両区に保存されていたキハ58系4両は、どれもリニア・鉄道館の展示対象には選抜されませんでした。

その右側のグリーン車は、キハ82系のキロ80 60です。特急「ひだ」や「南紀」で活躍していた車両です。

2012100606

キハ82系の先頭車、キハ82 105が見えます。
キハ82系の先頭車、キハ82はここに2両あったのですが、割合状態の良いキハ82 73の方が修復されて展示車両となっています。こちらは色褪せていて、なかなか良い味を醸し出しています。側面の「JNR」マークが凛々しい。JR化される前に引退して、保管されてきたのでしょう。

2012100607

更に奥の方には、キロ28や103系電車、381系電車などが見えます。
キロ28 2303の錆び方が凄いですが、まだまだ原型を保っています。古い鉄道車両って頑丈なんだと感心します。

2012100608

塗装がこれだけ剥げ剥げなのに、嬉しいことに誇らしいグリーン車のマークの部分は無事です。
キロ28の保存車両は、全国でもこの1両だけなのに、何故か展示車両の選に漏れてしまいました。

2012100609

103系電車を除き、中間車が車端を晒しています。博物館になるべく多くの形式を展示しようとすると、どうしても先頭車が優先されてしまって、中間車は残ってしまうのでしょう。キハ82系、キハ58系、そして381系電車、165系電車は、最低限のユニットを組んで動態保存する路が残してあったことが窺い知れます。

2012100610

昔は何処にでもいて、しかもあまり良い思い出が無い、詰め込み型の通勤型電車103系です。このクモハ103 18は、中央線や太多線(現愛知環状鉄道)等で活躍しました。

2012100611

かつては前後に先頭車を繋ぎ、運行上最低限の4両のユニットを組んでいた381系特急型電車も、中間車の2両だけが残されています。日本初の振り子型電車のトップナンバー、モハ381 1、モハ380 1です。下膨れの車両断面が良く判ります。

2012100612

M、M’ユニットを先頭車で挟み、かつては4両での動態保存も視野に入れての保管だったかと夢想します。381系中間車2両は、ここにある他の車両に比べると、かなり状態が良いように見えます。

2012100613

更に内側には、165系型電車のクハ165 120、キハ181系気動車のトップナンバー、キハ180 1のJR四国色、通勤型気動車のキハ30 51等が見えます。

165系電車は、クモハ165 108、モハ164 72、クハ165 120の運行上最低限のユニットの3両が残されていましたが、電動先頭車であるクモハ165だけが展示車両となりました。またキハ180 1は、中央線特急「しなの」としてデビューした、当地では華々しい過去を持っている車両ですが、佐久間レールパークに保存展示してあった僚機のキハ181 1が博物館行きとなったために、ここに居残りになりました。キハ30は、関西線などで良く見かけた通勤型気動車です。でも103系電車と同様に、通勤車は展示車に選抜され難かったのでしょう。

「リニア・鉄道館」に保存展示されている車両の多くは、JR東海の元会長の須田寛氏が情熱を込めて各地に分散保存を進めていたものです。肝心の車両が保存されていたからこそ、今日の目を見る車両がある中、中途半端に残ってしまった者たちが、ここで静かに余生を送ることになるのでしょう。

以降は過去に撮影した写真です。今回との比較のために、過去に訪れた時に撮影したものを引っ張り出します。

20121006101
2008年2月

まず、4年8ヶ月前の2008年2月の時の写真です。当時は道路に歩道橋が掛かっており、上方から俯瞰することが出来ました。当時もJR東海社内では、「リニア・鉄道館」の展示車両のが決まっていたのでしょうが、まだ一般には公開されていませんでした。博物館の計画さえ知りませんでした。

4両ユニットの381系電車、そして103系電車、165系電車3両等が見えます。隣のキハ82系やキハ58系にはシートが掛けられています。シートが掛かっていない381系や165系が展示車両に選抜されて、一見大切そうにシートが掛けられていたキハ58系等が残されたのには皮肉な運命を感じます。

20121006102
2008年2月

今にも走り出しそうだった381系電車です。先頭のパノラマグリーン車クロ381 11が見えます。

20121006103
2008年2月

クモハ103 18は、現在よりも錆が少ないことが判ります。「新豊田」の行先表示機が確認できます。4年8ヶ月の時の流れを感じる次第です。

20121006104
2008年2月

キハ82系特急型気動車2両のようです。手前のシートが掛けられていたのはキロ80 60かと思われます。奥のキハ82 73は、きれいに修復されて展示車両となりました。

20121006105
2008年2月

オハフ46の3姉妹は、当時も仲良くここにいました。

20121006106
2008年2月

オハフ46 2027のテールランプや銘板は、2008年当時では無事取り付けられています。キハ58 787の天井の錆びもさほどでは無かったことが確認できます。

20121006107
2009年11月

次に、既に「リニア・鉄道館」の展示車両が決定していた2009年11月の時の写真です。
美濃太田車両区から「リニア・鉄道館」展示用に搬出された車両は5両だけですが、2009年当時には全ての保管車両に保護のためのシートが被せられていました。手前のクロ381の特徴的な前面の形状がシート越しに確認できます。

20121006108
2009年11月

オハフ46等にも丁寧にシートが被せられていたのですが、選抜された仲間たちが、誇らしげに旅立ってからは、残留組はまた野晒しに戻ってしまったようです。我々が通りかかる際に、車両を確認することが出来るというメリットはありますが。

20121006201

「リニア・鉄道館」への移動に際し、搬出された車両はきれいに修復されています。クロ381やクモハ165など、美濃太田時代が思い出せないほどにピカピカに磨かれています。

20121006202

キハ82 73です。
ピカピカではありますが、この3両は現在車内に入ることが出来ません。車内を整備の上、限定公開してくれる機会を待っています。

20121006203

この写真は開館後間もない頃のものなので、クロ381の前面の「しなの」号のヘッドマークがありませんが、現在では取り付けられています。この車両が活躍していた時代には、私はグリーン車に乗ることなど夢の中でのことだったので、乗車経験がありません。後継のクロ383には何度か乗っているのですが、改造車の独特の雰囲気を持つクロ381は、一度最前列に乗ってみたい車両でした。

20121006204

381系電車のもう一両の先頭車、クハ381 1です。こちらは車内に入ることが出来ます。窓際の床下にエアコンダクトが通っており、足元が狭かったことを思い出します。
美濃太田からやってきたもう一両の、オハ47 2098は写真を撮っていませんでしたが、こちらも車内に入って往時の客車での汽車旅を思い起こすことができます。EF58形電気機関車と繋がれて展示されています。

「リニア・鉄道館」に移動、展示された5両の車両と、美濃太田に残された車両とは、一見運命を分けたかのような感慨を感じざるを得ません。しかし、美濃太田車両区の車両たちは放置状態ながら、眺めているとゆったりとした悠久の時を感じることが出来ます。今後も近くを通りかかったら、道路から見下ろしてみたいものです。

|

« 「週刊SL鉄道模型」第34号 お待ちかねの動力ユニット! | トップページ | 「週刊トヨタ2000GT」第42号 ダブルウィッシュボーンサスペンションの動きの再現性が素晴らしい! »

旅行・地域」カテゴリの記事

鉄道」カテゴリの記事

コメント

最後のキロ28系が解体されたニュースを聞いた時はショックでした。キハ58系と共に動態保存は無理でも静態保存をして欲しかったです。

投稿: 隆誠 | 2015年8月16日 (日) 13時39分

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/208541/55826968

この記事へのトラックバック一覧です: 美濃太田車両区の博物館選抜漏れ車両たち:

« 「週刊SL鉄道模型」第34号 お待ちかねの動力ユニット! | トップページ | 「週刊トヨタ2000GT」第42号 ダブルウィッシュボーンサスペンションの動きの再現性が素晴らしい! »