2年半以上前から放置しているネタを発掘して片付けます。アリイのプラモデル1/50「蒸気機関車C62タイプ」の製作作業のことです。今頃になって完成までの記事をまとめています。前回のNo.1に引続き、今回の記事にてようやく終了となります。
前回までに機関車本体、及びテンダーは、細部の色入れによる仕上げを残して、ほぼ完成しています。後はレールの台座と埃避けのケースの作成だけなのですが、オリジナル改造を多分に行ったので、思いのほか作業量が多くなってしまいました。とはいえ、今後の作業は「オプション」のような感じです。追い詰めたネズミをいたぶる猫の気分です。
まず、機関車を設置する線路部分の飾り台です。
3分割でそれぞれ一体成型ながら、一応レール付きの飾り台を組み立てることになっています。最初の状態が余りにもチャチなので、塗装を前提としてサーフェサーを吹いてあります。
当初の状態の写真が無かったので、レールの軌間を調べている時の写真です。飾り台は、赤色の樹脂一体成型です。レールの踏面のみ、ピッカピカのクロームメッキが施されています。
このままではプラスチックの生地が丸出し上に、真っ赤なので使用できません。どこまでやるかはともかく、塗装が必須です。
成型金型の関係からか、飾り台は3つに分割され、その接合部はバリがあってぴったり合いません。サーフェサーなんて修正後に吹けば良かったのですが、今更仕方ありません。
接合部のバリをやすりで削り、平滑にします。しかし、平面を接着剤でとめるだけでは分裂しそうです。
レールの位置を合わせ、とりあえずタミヤセメントで固定します。ずれないようにマスキングテープで仮止めです。
接着剤が乾いたら、裏返してビス止めの準備です。
2mmドリルで穴を開け、なべ小ねじとナット、ワッシャーを使用して固定するという作戦です。
なべ小ねじとナットがパーツに接する部分にワッシャーを咬ませて締め付けます。デアゴスティーニのC62の組立てに使用した工具が役立ちます。
2箇所の固定でかなり頑丈な飾り台になったと思います。これで分裂する心配は無くなりました。
機関車とテンダーを仮置きしてレール状態を確認します。飾り台表面の段差は耐水ペーパーで削って平滑にしておきます。飾り台は全長47.5cmもあるので、置き場所をそろそろ考えないといけません。
色々と削ってしまってパーツの生地が出てしまったので、再びサーフェサーを吹きます。最初のサーフェサーは無駄になってしまいました。
レール部分以外をマスキングし、シルバーを吹きます。スプレーじゃなくても、筆で塗っても良かったかと思います。
バラスト部分を面相筆でグレーに塗装します。
枕木は48本もあるので、結構チマチマした作業で時間を要します。
台座をウッドブラウンに、枕木をフラットブラウンに塗装します。
機関車本体の塗装よりもずっと手間が掛かっています。
一応、全体の塗装が終わりましたが、なんだかスラブ軌道みたいな色合いです。もうちょっとバラスト部分を何とかしたいものです。
一晩乾燥させてから、再び機関車を仮置きします。
この後、表示プレートとJNRマスコットを飾り台前面に取り付けることになりますが、もう少し改良を行いたいものです。
機関車に比して、飾り台が長いと思いますが、展示の際に迫力を出したいのでしょう。気になれば短くすれば良いのでしょうが、私はオリジナルの長いままにしておこうと思います。
さて、機関車とテンダーが完成し、いよいよ飾り台の仕上げ段階となっていますが、ここでまた時間の掛かる作業を手がけてしまいました。機関車自体がなかなか良い感じなのに、一体成型で味気ない飾り台へバラストを散布することにしたのです。少しは安っぽさを払拭できるかと思います。
バラストは、TOMIXのNゲージ用です。
Nゲージは1/150なので小さ過ぎるのではないか、と思われますが、元々Nゲージにはオーバースケールですし、このプラモの為にバラストを買うのももったいないので、余っているものを有効活用します。
前回、グレーに塗装した道床部分にバラストを右手親指と人差し指で摘んでゆっくり撒いていきます。飾り台の台座部分には、バラスト固定用の木工用ボンド水溶液が付着しないようにマスキングテープを貼っておきます。
枕木の上にバラストが乗ってしまったら不自然なので、平筆で丁寧に取り除きます。
この飾り台の枕木部分はあまり盛り上がっておらず、バラストを撒いていると、すぐに枕木の上にも乗っかってしまいます。
一様にバラストを撒いたら、木工用ボンドを薄め、台所用洗剤を1滴加えたボンド水をスポイトで垂らしていきます。Nゲージレイアウトの際と同じ方法です。
但し、バラストが僅かしか撒けない上に飾り台がプラスチックなので、すぐにボンドでいっぱいになってしまいます。バラストが浮いて、枕木に乗っかってくるので、平筆で丁寧にバラストを馴らします。
うっすらとバラストの膜が出来た程度の仕上がりになりました。これでは少々物足りないので、更にバラストを上に盛っていきました。何度か繰り返して、枕木以外の部分に盛り上がる程度に仕上げます。
ボンド水が乾きかけの段階で、飾り台下部に貼ったマスキングテープを剥がしておきます。
後は、展示プレートとJNRロゴマスコットを飾り台正面に貼り付ければ完成が見えてきます。でも、このプレートの出来がよろしくないので、自作して改良を行います。
このプラモには、飾り台正面に取り付ける表示プレートが付属しています。しかし極端に反り返っていてそのまま取り付けられない上に、文字のメッキが所々剥げていて格好良くありません。剥げている場所に色入れなど悪あがきしてみましたが、あまり効果はありませんでした。
せっかく飾り台を改良したのに、このプレートを付けるとチャチなプラモに逆戻りです。自作することにします。
以前にデアゴスティーニの1/24スケールC62を製作したときに、電気仕掛けのスイッチ部分のプレートを自作したときのラベルが残っているので、それを有効活用します。表面が光沢のゴールドラベルです。
「C62蒸気機関車1/50」との記載を印刷します。インクジェットプリンタのフォトラベルモードできれいに刷れました。
アリイのC62プラモ付属のプレートとサイズを合わせ、土台として使用する0.5mm厚の塩ビ板を切り抜きます。結構表面がツルツルに刷れたので、クリアを吹く必要は無さそうです。
サイズを合わせて塩ビ板に貼ります。
写真ではよくわかりませんが、なかなか良い品質のプレートができました。もちろん、オリジナルのように沿っていることはありません。
両面テープを裏面に貼って、飾り台に取り付けます。プラモに付属していた「JNR」マークのマスコットはそのまま使用します。これはなかなか良い感じです。とりあえず、しばらく貼って楽しみます。
機関車を飾り台に載せて、完成の佇まいです。
機関車に比べて飾り台の線路が長すぎるように思っていましたが、この長さが「立派感」を演出しているようです。黒く塗装した機関車と良い対比となっています。
金属製の模型と異なり、プラモデルは非常に軽いので、すぐに線路から転げ落ちそうになります。どうせ走らせない模型なので、車輪の底部に軽くクリアボンドを付けて線路に固定してしまいました。これで容易には線路から外れません。ボンド部は目立たないと思います。
やっぱり煙室扉ハンドルが大きすぎるので、正面から見るとオモチャっぽく見えてしまうのがこのプラモの特徴です。きっと改良される方もおられるでしょう。
軌間がほぼ正確に1/50サイズなので、国内の鉄道模型のようなガニマタ感がありません。バラストが枕木より盛り上がってしまっているのはご愛嬌ということで・・・。
全体のプロポーションは決して悪くありません。ちゃんとC62のスタイルとなっています。パーツ精度は低くて組立てに苦労しますが、設計は優れていると思います。
玄関の「CLUB C62」に持っていって、デアゴのC62親分と対面です。
まるでスケールが異なる模型なので、気軽に比較するわけにはいきませんが、塗装を施してあることにより、真鍮色の巨大C62模型と良いコントラストになって、それなりの存在感があります。組立てに苦労して途中で挫折しがちでしたが、作ってよかったと思う瞬間です。
飾り台に機関車を載せて、次に欲しくなるのがカバーです。埃避けのためにもカバーはあった方が良いですし、見栄えも良くなります。続いて透明アクリルのケースを自作します。
模型用のクリアケースは、「はざいや」さん等、ネットで寸法を指定して注文すると作ってもらえるサービスがありますし、その方が安上がりの場合もあります。しかし、失敗してもよいので後学の為に自作します。正直言って、今回のケース作りは成功とは言えず、私はこれ以降、ケースははざいやさん等に依頼するようになっています。プロの仕上がりは別次元です。
近所のホームセンター、ケーヨーデイツーでアクリル板とアクリルカッター、専用接着剤に注射器?を購入してきました。
横幅575mmの飾り台を収めるために、545×650サイズの結構大きなアクリル板を購入します。厚みは2mmです。2700円程度でした。結構高価です。
揮発性のアクリル板用接着剤を流し込むのに先細のスポイトを持っていなかったので、接着剤の隣に並んでいた専用注射器を買います。これは慣れずに結構苦労しました・・・。スポイトで十分でした。
アクリルカッターを柄にセットし、手前部分を引っ掛けながら、アクリル板に溝をつけていきます。
アクリルカッターを寝かせて、手前に引けば、簡単に溝が掘れていきます。ただ、作業時には凄まじく気持ちの悪い音を聞くことになります。「ヒィィー!」と、まるで断末魔の豚の鳴き声のようです。聞いた事はありませんが・・・。
妻が作業の様子を覗きに来ましたが、あまりに気持ち悪い音におののいて逃げていきました。
横幅582mm、奥行き80mm、高さ120mmのケースを作成するので、使用する板の寸法は以下の通りです。
1.横582mm×縦120mm:2枚
2.横582mm×縦76mm:2枚
3.横80mm、縦120mm:2枚
4.横584mm×縦80mm:1枚(底板)
底板も作りましたが、これは透明である必要も無く、別の素材で作り直すかもしれません。
アクリル板接着時の写真が無くてすみません。悪戦苦闘していたので忘れてしまいました・・・。
アクリル板を合わせて、合わせ目に接着剤を流し込むのですが、漏れてしまってなかなかうまくいきません。結局、注射器は使用せずに慣れている小型のスポイトで処理しました。結構豪快に接着剤が漏れて、向こう側は汚くなってしまいました。
アクリル板の接着は初体験でしたが、良い実験台となったかと思います。接合面に流し込んだら、あっという間に接着するのにびっくりしました。次の機会にはもう少しきれいに作れるでしょう。
仕上がりが汚くなったものの、とりあえず完成したので機関車に被せます。
比較的きれいな面を手前に持って来れば、埃よけ十分に使用できます。なかなか良い感じです。
デアゴのC62のケースの上に置いてみます。玄関があまり明るくないこともあって、ケースの汚さはあまり目立ちません。
これにて長らく掛かったC62プラモは完成となります。デアゴのC62と比べても、なかなか立派に見えます。プラモデルのくせに、いっぱしの鉄道模型のようです。このまま玄関の「CLUB C62」に定住させたいほどです。妻の許可は出ないかもしれませんので、このままなし崩しに置きっ放しにします。結局、現在までそれは続いています。アクリルケースに入っているので、今でも埃知らずです。
2年半以上も前のクサレネタにお付き合い頂き、ありがとうございました。これで、中途半端な状態で長らくお蔵入りとなっていたアリイC62プラモネタを完結させることができました。
世の中も、私を取り巻く環境も、このプラモを製作していた時代からはかなり変化しており、ノンビリと改造に取り組むことが出来ない状態となっています。昔の写真やメモを見直して編集していると、情熱を持って製作していた時のことを懐かしく思い出すことが出来ました。
何十年も前の金型を使用し、バリやズレが多いこの大型プラモは、他の方に手放しで薦められるものではありません。でもかなりの期間、工作を楽しむことができるので、完成時の迫力も含め、コストパフォーマンスは高いと思います。鉄道車両のプラモデルの市場はあまり盛んではありませんが、本格模型を作製するのとは異なる手軽さがあるので、新規設計の商品の登場を心待ちにしています。
前回はこちら
ナツカシネタの発掘!アリイの1/50「蒸気機関車C62タイプ」完成まで No.1
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