土用の丑の日はとっくに過ぎてしまっていますが、うなぎの話題です。平成の世になってからも、平賀源内の作ったキャッチコピーに踊らされていて、夏場はうなぎが食べたくてウズウズするものです。
このところ、すっかり昼の300円弁当に飽きてしまって、チャンスがあれば大須の街にランチに出かけています。
8月に入ってようやく梅雨明けし、このところ蒸し暑い日が続いています。こんな日は元気をつけるためにうなぎを食べるに限ります。
大須には何軒かうなぎ屋さんがありますが、うなぎだけ専門にやっているのは大須観音の側の「宮田楼」だけです。店も古くて趣がありますし、とてもおいしいのですが、とにかく注文してから出てくるのが遅い。相当フライングしないと昼休みが終わってしまいます。しかも価格も結構高いので、気軽に食べるわけにはいきません。
お手軽に食べたいときは、大須商店街の新天地通りのメガタウン1階にある「大松」に行きます。パチンコ屋や携帯屋の間を通り抜けていくような感じで入り口がわかりにくいのですが、夏場はきちんと混んでいます。今は夏休みなので、普段来ないような若い人たちも店内にいました。
ランチメニューの「ミニまぶし」800円。名古屋名物ひつまぶしの小型版です。今日はお気楽メニューのこちらをいただきました。
肝吸いと漬物、薬味とうな茶漬け用のだし汁付きです。うなぎは普通のひつまぶしの半分の量なので、たくさん食べたい方には通常メニューを食べた方が良いでしょう。
大食いではない私には、ランチに丁度良い量です。味もそこそこおいしくて満足します。特に、うな茶漬け用のだし汁がおいしい。肝吸いのだしとは微妙に異なっています。昆布風味のこのだし汁を味わうために、私は大松に行くといっても過言ではありません。アルミ急須に並々と入れてくれます。うな茶漬けにするだけでなく、全部飲みます。
ランチメニューでは、ミニまぶしの他に、いくつかの定食を800円で供しています。うなぎ専門店ではないので多彩です。この写真の他、冬場のカキフライなど季節メニューもあります。
うなぎと刺身以外の定食は超てんこ盛りで、私は食べ切れません。エビフライは7本くらい盛られてきます。このお店、回転が早いので、少し並んでいても待っていればすぐに入れます。
名古屋では、クソ不味いのに混んでいる有名な熱田の蓬莱軒に行かなくても、そこらのうなぎ屋さんでおいしく食べられるひつまぶしですが、この料理、大したことないうなぎを何とかおいしく食べられる非常に優れた料理法だと思います。蓬莱軒で名物のひつまぶしではなく、普通のうな丼を食べると、その泥臭さ、べちゃぬるご飯の不味さが露呈します。細かく切って薬味やだし汁をかければ、少々の難は隠れるのです。
本当においしい店では、アッツアツご飯のうな丼こそが一番だと思っています。
この地方のうなぎやさんは、蒸さずにカリッと焼き上げて、たまりのドロリとした甘辛いタレをつけ、固炊きの熱々ご飯に載せて渋滞無く食べる!というのが真骨頂。どうしてもひつまぶしが食べたければ、大松のお得な800円のを食べてサクッと体験してしまいましょう。テレビやガイドブックが持ち上げるのでイメージからか、皆さん蓬莱軒を褒めますが、自分の舌を信じて「不味いものは不味い!」といって欲しいものです。
但し、蓬莱軒もメディアに取り上げられてから味が落ちたのであって、熱田神宮の境内の中にあった小さなお店の時は、他店ではまだ無かったひつまぶしを食べて、「この世にこんなうまいものがあるのか!」と感動できた味でした。
大須の近辺では、先述の観音様の側の「宮田楼」が味は一番です。あくまで私の好みですが・・・。
写真の上丼は2000円。上ひつまぶしは2500円。大松と違ってちょっと贅沢をしたいときしか行けません。少々辛目のタレは昔から瓶に継ぎ足して使用している年代モノ。大須ではこの店のみ、うなぎ専門店です。待たされますが、期待を裏切らない味です。店内の水槽では、うなぎではなく、大きな鯰クンが佇んでいます。食べるんじゃなくてペットです。
仁王門通りの「やっこ」はランチのミニひつまぶし1100円というお得メニューがあります。私はそれしか食べたことがありません。マアマアの味ですが、店内は常連さんのタバコの煙が充満していますので、私は普段は遠慮しています。大須は禁煙、分煙されているお店は外食チェーン店位しかないのが残念です。
西大須の「鰻の竜田」は、フィギュアスケートの浅田真央選手が幼少の頃、すぐ近くの名古屋スポーツセンターに通っている頃にお気に入りだったと言うお店です。
写真の上丼1200円と安い!ランチメニューでミニひつまぶし900円と言うのもあります。店の佇まいも庶民的です。
味はそれなり、うなぎはカリリと上々。ご飯を熱々にして欲しい。ひっそりとした住宅街の中に、炭火焼の煙がお客を誘っています。いつも誘われます。
大須以外の名古屋のうなぎ屋さんで、今私が気に入っているのは、鶴舞の「うな富士」の「肝入りうなぎ丼」2400円。うな丼の上に、7匹分くらいの肝焼きがドーンと載っています。更に肝吸い付です。夏のスタミナ補給にぴったり!ご飯の中にも一切れうなぎが入っていてボリュームがあります。
ご飯は固炊きで熱く、うなぎは香ばしい。但し、肝焼きうなぎ丼は限定数だけなので、正午過ぎて注文すると無くなっていることがあります。早めに行くに限ります。もちろん、普通のうな丼やひつまぶしもおいしいです。店内は完全禁煙なのも嬉しい。
昔から贔屓にしていたのが、名古屋市東区山口町の「西本」というお店です。両親のうなぎ好きのために、私は離乳食の時期からこのお店のうなぎを食べさせられました。それはもう喜んで食べていたそうで、私にとって、昔の「西本」の味が、うなぎの味の基準となっています。
名古屋では一二を争ううなぎの名店です。
先代がご健在の頃は名古屋一の味だと思っていたのですが、数年前に改装してから普通の味の店になってしまいました。今ではとても残念な名店です。未練があるのでたまに訪れますが、「こんな味じゃなかった!」と怒りにいくようなものです。写真の中詰丼1900円。肝吸い付き。
お店には立派な庭があって落ち着けます。全員4500円の定食を頼めば、グループでお座敷を予約して貸切れます。お座敷以外、禁煙です。定食のう巻きは(かつて)絶品でした。今でもハズレの日もあるが、そこそこ美味しい。熱々ジュワッとだしが溢れます。
う巻きは単品でも注文できますが、1本単位なので4人くらいで頼まないと大きくて食べられません。
「西本」の近所に、うなぎ釜飯が有名な「川長」というお店があります。名店「西本」の脇を通って「川長」に行くのは非常に勇気が要りますが、思い切って一度行ったことがあります。
結果、釜飯としてはとても美味しいです。でもうなぎを釜で蒸したら独特の魚の香りが出てしまって、私は苦手です。うなぎの味を期待するとがっかりします。このお店なら、うなぎ以外の釜飯もあるので、それを食べたほうがシアワセになれるでしょう。上うなぎ釜飯2205円。いつも混んでいます。
庶民的な価格の店としては、栄の丸栄の向かい側、栄町ビル地下1階の「川次」。最近値上げしましたが、それでもうなぎ丼680円という安さ。肝吸いは別売り100円。安いがコダワリの三河一色産うなぎの活け締めで、とても美味しい。量は少なめです。注文するとすぐに出てきます。
ひつまぶしも850円と安い。こちらも量は少なめです。たくさん食べたい方には足りません。
丸栄地下にも「川次」がありますが、微妙に味が違う上に少々高くなっています。日曜日は栄町ビルのお店はお休みなので、丸栄の方に行きます。栄にはうなぎの名店、「いば昇」がありますが、今では名前だけの名店です。「昔はこんな味じゃなかった!」と怒りたいときだけ行った方が無難です。栄に「いば昇」を名乗る店は二つありますが、丸栄の近くの店ではなくて、錦通りの1本北の通りの店の方がマシです。でも食べている真横の通路で席待ちのお客を並ばせるので、落ち着いて食事が出来ない残念な店です。なのに値段は高いです。「いば昇」のひつまぶしは、だし汁ではなくてお茶をかけて食べるのが特徴です。
この地方で最も美味しいと思うのは、名古屋市内ではなくて、私の地元の岡崎市の「河原町はせべ」というお店です。
「はせべ」という店名のお店はJR岡崎駅の近くの羽根町にもあります。いつも混んでいますし我が家からごく近いのですが、日によって味にムラがあります。私が好きなのは岡崎市河原町の「河原町はせべ」の方です。写真は上うなぎ丼。いつもおいしいです。
ここが今のところ、私のナンバーワン。おいしいものを食べてもらうのに相当努力しています。お昼の食事時間の終わりごろに入っても、炊きたて熱々ごはんの丼が出てきたときには感動しました。
この店では白焼きが絶品。この写真の白焼きは1260円の普通のタイプですが、グループの人数が多いときは倍額くらいになるものの、大き目の「長白焼き」の方がより美味しくオススメです。カリリとした触感、芳醇なうなぎの香り、たまりません。生姜醤油であっさりいただきます。ビールにもぴったり!陶器のグラスで出てきます。
うなぎ好きの方にはコダワリがあって、ひいきの店を巡ってケンカになりかねません。以上は、私のたわごととしてお受け取り下さい。
読み返してみると、名店で価格が高くてきっちりおいしいか、庶民的な価格でそこそこの味のお店が好きなようです。皆さんそうだと思います。
何となく周りの雰囲気に影響を受けて、夏はうなぎを食べたくなってしまうものです。秋になったら空いてくるのはわかっているのですが、「うなぎ食べたい!」病は食べない限り症状が治まりません。職場の近くにもたくさんうなぎ屋さんがあるのはシアワセなことなのかもしれません。
私にとっての「ヤク」はうなぎということになりそうです。
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